賃貸アパートを生前贈与するメリット・デメリットは?流れも解説
賃貸アパートを承継する際に生前贈与を利用することで、節税効果を見込める場合があります。
しかし、状況によってはかえって税負担が重くなる可能性もあるため、注意が必要です。
今回は、賃貸アパートを生前贈与するメリット・デメリットと、手続きの流れについて解説します。
賃貸アパートを生前贈与するメリット
賃貸アパートを生前贈与する主なメリットは、以下のとおりです。
将来の相続財産を圧縮できる
賃貸アパートは毎月一定の賃料収入を生み出します。
所有者の死亡時に賃料が現預金として蓄積されていた場合、相続税の課税対象となります。
しかし、生前贈与によって賃貸アパートの所有権を移転させていれば、贈与した翌日からの賃貸収入は受贈者のものとなります。
そのため、贈与者の相続財産を圧縮できる可能性が高まります。
所得税の分散による世帯全体の節税が見込める
日本の所得税は累進課税制度を採用しており、所得が高くなるほど税率が上がります。
賃貸アパートの所有者がその他の給与などでも所得を得ている場合、賃料が収益に加算されることでより高い税率が課せられることになります。
そこで、所有者よりも収入が少ない子どもなどにアパートを贈与すれば、賃貸所得は子どもの所得として計算され、世帯全体の納税額を抑えることができます。
このような所得税の分散による節税は、特に受贈者が家事を専業としている配偶者や学生の子どもである場合に高い効果が見込めます。
贈与税の負担を現金より軽減できる
不動産を贈与する場合、評価額は時価ではなく固定資産税評価額などを基準に算出されることが多いです。
さらに、賃貸アパートであれば借家権割合を乗じた金額が評価額から差し引かれます。
そのため、賃貸アパートを贈与するほうが同等程度の価値の現金を贈与する場合よりも贈与税の金額を低く抑えられる傾向にあります。
相続時精算課税制度の活用による節税効果
贈与税の暦年課税制度では、原則として年間110万円を超える贈与に対して贈与税が課されます。
しかし、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫に対して贈与を行う場合、相続時精算課税制度を選択することができます。
相続時精算課税制度を利用すると、累計2500万円までの贈与には贈与税がかかりません。
贈与した財産の価値は贈与時の時価で固定され、将来の相続における相続税の算出の際に他の相続財産と合算されることになります。
賃貸アパートを生前贈与するデメリット
賃貸アパートを生前贈与することには、次のようなデメリットが考えられます。
経費の負担
不動産を移転させる際には、登記にかかる登録免許税と取得したことに対する不動産取得税が発生します。
登録免許税の税率は相続時よりも贈与時のほうが高いです。
不動産取得税については相続であれば原則として非課税ですが、贈与の場合には評価額に対して課税されることになります。
贈与税の負担が重くなる可能性
賃貸アパートを生前贈与する際に暦年贈与を選択した場合、基礎控除額は年間110万円であるため、賃貸アパートの評価額が高いと贈与税の負担が重くなるデメリットがあります。
相続時精算課税制度を利用する場合でも最終的には相続税の対象となるため、トータルの納税額が必ずしも減るとは限りません。
取り消しが不可能
一般的に、贈与したものは取り消すことができません。
賃貸アパートを生前贈与した後に贈与者の生活費が不足する事態になったり、受贈者の管理能力に問題が生じたりしても、アパートは取り戻せないことに注意が必要です。
負担付贈与による税負担
賃貸アパートを贈与する際には、銀行からの借入金や入居者への預かり敷金が残っていることが多くあります。
これらの債務を不動産に伴わせて贈与することを、負担付贈与といいます。
負担付贈与をした場合には賃貸アパートの評価額が時価で判断されるため、贈与税が高くなりやすいというデメリットが生じます。
また、贈与者にも所得税や住民税が課せられる可能性があります。
賃貸アパートを生前贈与する流れ
賃貸アパートを生前贈与する際には、まず贈与契約書を作成することをおすすめします。
贈与契約書には、贈与の日付、対象の財産、贈与者、および受贈者を明確に記載します。
贈与の内容が明らかになったら、法務局に対して所有権移転登記の申請を行います。
このときに登録免許税の納付が必要となります。
登記の完了後、アパートの管理を委託している会社に対してオーナー変更の通知を行います。
入居している賃借人に対しても、振込先口座の変更などの案内を出す必要があります。
贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に行います。
まとめ
今回は、賃貸アパートを生前贈与するメリット・デメリットについて解説しました。
賃貸アパートの生前贈与によって節税効果を得られるかどうかは、状況によって変化します。
判断に迷われている場合には、税理士に相談してください。
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